投資参謀 大手川隆

世の中の不条理なことや仕組みに一石を投じる 

投資参謀 ~戦略的思考とは ~

 ある日、保険のパンフレットを眺める機会があり、そこには、様々な人生のイベントに合わせて、保険の在り方について書かれていて、様々な補償について、細かい数字の記載があった。

私は興味本位に電卓をたたき、その合理性について考えてみました。

 

まずは一般的にいわゆる総合型保険について

中身は終身保険、定期保険、3大疾病保険、特定重度疾病、介護保障、総合医療など

とにかく幕ノ内弁当状態で、なんでも入ってます!さあどうでしょうか!みたいな内容でした。※下記参照

 

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 さて、この保険について、30歳で加入する前提で、45歳には更新が必要とのこと。

30歳時点では、毎月18,620円の支払いで、1年で223,440円の支払いです。さらに45歳までの15年間って考えると、3,351,600円の支払いに上ることがわかります。さらに、45歳時点で同じ保障を得ようとすると、45歳から59歳まで、毎月43,706円の支払いが必要だということがわかりました。それが15年って考えると、43,760×12ヵ月×15年=7,876,800円の支払いだということがわかりました。ここまでの支払いでは、全部で11,228,400円の支払いです。

この時点で、すでに保障額より、支払いがオーバーしてることがわかります。

60歳になって時点で、もう継続しないってなると、終身保障の100万しかのこらないのではないかと思います。

さて、果たしてこんなにバラエティに保障が必要なのでしょうか?

人間、そう簡単に死ぬものではない。毎日若い人が死んだら、人口はもっと減るはずです。

同じような保障で、都民共済や国民共済の掛け捨てにすると、毎月2,000円程度ですみます。それを30年支払っても、100万以内に収まります。

 

何よりも、それぞれの保障を分解し、本当に必要なものだけを選んで、加入したほうが良いのです。ただ、本当に必要なものとなると、実は医療保険は必要なくなるわけです。

一日入院して、5,000円や10,000円をもらったところで、その時はうれしいかもしれない。しかし、今はそう簡単に入院できないし、長くも入れない。そのちょっとのお金をもらうが為に、普段どれだけ保険料を支払う羽目になるのか、考えたほうがいいと思います。

 別の角度から考えてみましょう。なんのために保険に入るのかという質問をしたとすると、多くの人は「いざという時のために」て答えるでしょう。では、いざという時ってどんな時?て質問すると、おそらく答えられなくなる。では、死ぬ時としましょう。死ぬ時になにが必要かというと、葬式代くらいなんです。葬式はいくらかかるの?と聞くと、ほとんどはわからないと答える。 一般的にどんなに豪勢にやっても、300万以内に収まるでしょう。そうなると、1千万や2千万の保険に入る意味はないでは?と思ってしまいます。

まったく入らないのももしかしたらよくないかもしれない。しかし、このように冷静に考える必要があるのではないでしょうか。

もちろん、このような分析をすると、保険に入っていることによっての安心感だとか、万が一というのがあるじゃないかというお叱りを受けるだろう。実は問題はそこなのである。確かに色んなものがパッケージになって、混然一体となった安心感を売っているのだから、どの安心感に対して、最初は2万、そのあとはなんと5万ものお金をを支払っているのか、説明できないのが普通である。しかし、ものの本質について考えるときには、どうしてもこの「混然一体」としたものを解きほぐす必要がある。そして、解きほぐされた個々の要素が全体に与える影響というものを理解することが必要なのである。先ほどの総合型保険の例でいえば、同じ保障を得るのに、それぞれ掛け捨ててもいいから、個別に入ったほうがお得なのである、という認識のもとに、それでも私はあの保険がいい!あの保障がほしいから高いお金を払いたい!という二次的な理由なら、それでもいいのかもしれない。「なんとなく」安心感に対して金を払うという他律的なやり方を、自律的判断に移し替えるということである。

 

 

 

続いて、産婦人科での出来事です。

 数年前、第一子が生まれるということで、病院の待合室で待っていたら、目の前にいくつかの学資保険のパンフレットがおいてあった。

進学のための貯蓄、お祝い金など、響きがいい言葉が盛りだくさんでした。

 

しかし、肝心の中身の運用はってなると、まず

被保険者である子供に万が一のことあったら、積み立てた金額しか払いません

契約者である親御さんに何かがあると、それ以降の保険料は払わなくてもいいとのことです。(それじゃ、親御さん自分で掛け捨ての保険に入ったほうがいい気がするが・・)

一方、お祝い金は、中学や高校、大学でそれぞれ何かが出るとのことだが、いずれ自分が積み立てていたお金のうちからである。(この時点で、毎月分配は自分の元本だ!と批判している人たちに色々と言いたいことがある^^) お祝い金をもらう場合、18歳になって、トータルの返還率は101%くらいだった。

また、お祝い金はいらない、18歳になって、一括で受け取りたいという方は、返還率は104%である。

すごい、増えるんだねなんて笑っている場合ではない。

18年間で4%では、単純に1年間0.22%しか増えない計算である。たしかに見た目は預金よりいい。しかし、もっと違う運用ができることは確かである。

同じ積立をするのに、投信積立でやったほうが、20年でとんでもない差ができることを知ってしまうと、こんなばかばかしい学資保険は出来っこないですよね。

 

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 世の中には、「混然一体」として、表面のパッケージを分解し、一度バラバラにしてから、再度組み立てて考える必要がある物事であふれています。特にこれからの時代、ますますそれが必要とされるだろう。